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名古屋地方裁判所 平成7年(わ)79号 判決

被告人

氏名

葉山日出夫こと趙彩奎

年齢

一九三五年七月二六日生

国籍

韓国(慶尚南道咸安郡郡北面下林里二三〇番地)

住居

名古屋市中川区尾頭橋三丁目三番二三号

職業

会社役員

検察官

樋口勝男

弁護人(私選)

平野保

主文

被告人を懲役一年及び罰金一二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、昭和四〇年以降、名古屋市中川区尾頭橋三丁目三番二三号において、「葉山設備」の名称で下水配管業を営む者であるが、自己の所得税を免れようと企て、適宜の過少な所得金額を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成二年分の実際総所得金額が三八五七万三八八九円であったのにかかわらず、平成三年三月一五日、名古屋市中川区尾頭橋一丁目七番一九号所在の所轄中川税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が七一九万〇六〇〇円で、これに対する所得税額が一〇二万一五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一五〇〇万四〇〇〇円と右申告税額との差額一三九八万二五〇〇円を免れ、

第二  平成三年分の実際総所得金額が四一六八万九六九〇円であったのにかかわらず、平成四年三月一三日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が八〇四万四五一三円で、これに対する所得税額が一二七万八三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一六五五万三〇〇〇円と右申告税額との差額一五二七万四七〇〇円を免れ、

第三  平成四年分の実際総所得金額が五九二四万四一六一円であったのにかかわらず、平成五年三月一一日、前記中川税務署において、同税務署長に対し、平成四年分の総所得金額が八七一万六五八四円で、これに対する所得税額が一四六万一九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二四三〇万〇五〇〇円と右申告税額との差額二二八三万八六〇〇円を免れた。

(証拠)

(括弧内の甲乙の番号は検察官の請求番号の略)

全部の事実について

1  被告人の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書四通(乙1ないし4)

2  葉山花子こと鄭花子の検察官調書四通(甲27ないし30)

3  葉山圭司こと趙仲奎の検察官調書(甲31)

4  査察官調査書二〇通(甲7ないし26)

第一の事実について

5  安平邦彦こと康邦彦の検査官調査(甲32)

6  証明書(甲4)

7  脱税額計算書(甲1)

第二、第三の事実について

8  今中徳子の検査官調書(甲33)

第二の事実にいて

9  証明書(甲5)

10  脱税額計算書(甲2)

第三の事実について

11  証明書(甲6)

12  脱税額計算書(甲3)

(法令の適用)

1  罰条

第一ないし第三の各行為につき

いずれも所得税法二三八条一項、二項

2  刑種の選択(第一ないし第三の各行為)

いずれも懲役刑及び罰金刑を選択

3  併合罪の処理

刑法四五条前段

懲役刑につき 同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき 同法四八条二項

4  労役場留置(罰金刑)

刑法一八条

5  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

(求刑 懲役一年及び罰金一五〇〇万円)

(裁判官 久保豊)

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